旧七夕への準備🎋 棚機津女のお話

声咲く

♬なぬかのよと あめのみそおりめ…
かの秀起つる 浪穂の上に
八尋殿をたてて 手玉も もゆらに

と、桜月流では旧暦で七夕節会を祝います💫
そのための準備で、週末から水辺へ来ています。

さて、中国伝来の織姫彦星伝説としての七夕より以前に
「七夕(たなばた)」の名の由来でもある
日本古来の伝承、棚機津女(たなばたつめ)の話を
私たちは忘れてはなりません。

棚機津女とは、水辺で機を織りながら
神の訪れを待つ乙女のことです。

機(はた)という日常生活する場所より
一段高いところに機を織るためにと造られる聖なる空間。


そこは、水辺でなければならず
乙女は七月七日を前に
水辺に張り出した機織のための八尋殿(やひろどの)に籠り
神さまのための「神御衣(かんみそ)」を織り上げるのです。

時に叶って、
神に御衣を捧げ奉ると…
その乙女、棚機津女は神の妻となり
彼女もまた女神として祀られ
神の巫女としてのお役目を果たされるのだと言います。

 

『日本書紀』にも棚機津女の姿が描かれています。

天照大神の孫である瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が
高天原より天孫降臨して地上に降りてこられた時
その美しさを見初められて妃となる
木花開耶姫(このはなさくやひめ)についての記述です。

「かの先立つる浪穂の上に八尋殿を起()てて
手玉も、もゆらに機織る少女」
– 神代下第九段一書第六 –

『日本書紀』では、木花開耶姫のことを
棚機津女として描いているのですね。

 

さて、水の祓いで清められた縦糸と横糸で
神さまがお召しになる美しい織物の衣を織り上げるのは
七月七日の夜ではなく、前夜である「夜明けの晩」です。

だから、旧七夕祭は七月六日の夜から七月七日の早朝に
行われるのが古式の本義。

旧暦七月七日(今年は8/4)の午前1時頃には、
ぐっと天頂付近に夏の星座群が昇ります。
ベガ(織姫)とアルタイル(彦星)、そして天の川。

その空を、星を、水に映します。
その水に、梶の葉に書いた和歌や願い事を書いて
浮かべます。その願いが聞き届けられるかどうかは
次の夜、七月七日に昇ってくる舟の形をした
七番目のお月さまが教えてくださいます。
この時、七夕髪として、
髪を洗い、その時の訪れを待つようにします。

七夕は、水の祭祀であり、水の祓行事です。
『夏越の祓』に共通しています。

そのようなことで、今週は旧七夕の準備として
丹沢の方でお籠りをしています。

朝のルーティンは✨
古刀と共に水辺で呼吸するツルギ・メディテーション。

「無のゆらぎ」
「ケプラーの楕円軌道の法則」
「光の静かの子 -フォトン-」

そんな感覚が浮遊してゆくようで
都会では忘れがちな一体感が迫ってきます。

佐治晴夫先生は「自分は自然の分身」と
おっしゃいますが、
その感覚を思い出させてくれるような朝です。

川辺で、「見ながら見ない」でいると。
水音が際立って、そのまま水に溶け込んで
しまうかのようになります。

棚機津女のように
歌う美剱(MI-TSRUGI Chant)で
私も「神御衣(かむみそ)」を織り上げたい💫

水は、生命の根源ですね。

 

  • SHARE

声咲く・最近のエントリー

  • 恵比寿の駅ビル《アトレ7階》 にて 「こどもみつるぎ」クラス開講!

    恵比寿の駅ビル《アトレ7階》 にて 「こどもみつるぎ」クラス開講!

    恵比寿/よみうりカルチャーで 「こどもみつるぎ」のクラスが 10月より開…

  • 十六夜

    十六夜

    十五夜のお月さまにお供えした 衣被(きぬかづき/里芋を皮のまま蒸したもの…

  • お月見 待宵月から十五夜へ

    お月見 待宵月から十五夜へ

    十五夜の前夜 音羽にて「月見の宴」がありました。 剱に月の光を映して 美…

  • 大好きなパイプオルガン奮闘記!

    大好きなパイプオルガン奮闘記!

    神谷美保子、パイプオルガン💓 リベンジ中です!! 佐治晴夫先生が米寿のク…

  • 私の愛刀が

    私の愛刀が

    私の愛刀が、いま、 両国刀剣博物館に展示されております。 室町時代の古刀…

  • “ TSURUGI-剱- ” とは

    “ TSURUGI-剱- ” とは

    ファッションブランドの関連のショーに出演です。 お客さまは海外の方々ばか…